損益計算書だけでは会社の実態は分からない?利益とお金のズレが生じる根本理由

2025年1月12日

この記事で分かること

  • 損益計算書の目的は適正な期間損益計算
  • 損益計算書は会社の実態を示さない場合がある
  • なぜ損益計算書だけでは実態が分からないのか
  • キャッシュフロー計算書で「お金の実態」を補う

損益計算書の目的は適正な期間損益計算

現行の企業会計において損益計算書は、適正な期間損益計算を行い、正確な収益力を表示することを目的としています。したがって収益は販売の時点で、売上原価は売上高との対応により計上されます。

このように発生主義により損益計算を行うことにより適正な期間損益計算が可能となり、損益計算書において正確な収益力を表示することが可能となります。

損益計算書は会社の実態を示さない場合がある

損益計算書における損益計算の仕組みはとても合理的でよく考えられており、素晴らしいと思います。しかし、この損益計算の仕組みには盲点があります。それが過剰在庫です。

キャッシュフロー計算書では商品を購入した金額だけ営業活動によるキャッシュフローのマイナスとなりますが損益計算書では購入した商品が販売されて売上が計上されない限り費用として計上されません。

つまり当期売れ残った商品は損益計算上考慮されることなく、翌期以降の事業年度で販売されるまでは貸借対照表に資産として記載され続けます。適正な在庫金額であれば何ら問題ありませんが過剰に在庫が膨れ上がっている場合には要注意です。

過剰に抱えた在庫金額だけ資金が滞留していることを意味するからです。

その弊害が黒字倒産です。

このあたりの詳細につきましては、前川修満著『決算書はここだけ読め!』が詳しいので興味のある方は読んで見ることをおすすめ致します。

次に読むなら、こちらの記事がおすすめです。

この記事もおすすめ
営業活動によるキャッシュフローとは?プラス・マイナスの見方と小計前後の意味を徹底解説

営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)の見方と分析法を網羅。本業での稼ぎ力を示す重要指標であり、プラス・マイナスが意味する経営状態、営業小計前後の違い、健全な目安をわかりやすく解説します。

WHYなぜ損益計算書だけでは実態が分からないのか

損益計算書は、売上や費用を「発生したとき」に計上する発生主義で作られています。これは1年間の儲けを正しく測るための工夫ですが、その代わりに「実際にお金がいつ入って、いつ出たか」は見えなくなります。

  • 売上は計上されても、代金はまだ回収できていないことがある(売掛金・受取手形)
  • 仕入れたお金は、在庫として眠っていることがある(棚卸資産)
  • 設備投資の支出は、数年に分けて費用になる(減価償却)
  • 借入や返済は、利益にはまったく表れない(財務活動)

このため、損益計算書が黒字でも、手元のお金が足りなくなることがあります。

SOLUTIONキャッシュフロー計算書で「お金の実態」を補う

キャッシュフロー計算書は、損益計算書の利益を出発点に、こうしたずれを一つずつ直して「実際のお金の増減」を示します。損益計算書で儲けの大きさを、キャッシュフロー計算書でお金の実態を確かめる、という組み合わせで読むのが基本です。

読み方のコツ

営業キャッシュフローと当期純利益を比べ、営業CFが利益を大きく下回っていないかを確認しましょう。下回っている年は、売上債権や在庫が増えている可能性があります。

あわせて読みたい
キャッシュフローとは?利益との違いや3つの分類・計算方法をわかりやすく解説

キャッシュフロー(資金の流れ)の基礎を徹底解説。損益計算書の「利益」とお金が一致しない理由、営業・投資・財務の3つのキャッシュフローの仕組み、経営においてなぜキャッシュが最も重要なのかを初心者にもわかりやすく図解します。

次に読むなら

次に読むなら
営業活動によるキャッシュフローとは?プラス・マイナスの見方と小計前後の意味を徹底解説

営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)の見方と分析法を網羅。本業での稼ぎ力を示す重要指標であり、プラス・マイナスが意味する経営状態、営業小計前後の違い、健全な目安をわかりやすく解説します。

-キャッシュフロー計算書の読み方