キャッシュフロー計算書の作成と雛形

投資活動によるキャッシュフロー(投資キャッシュフロー)

投資活動によるキャッシュフローはその会社が将来の利益獲得のためにどの程度の未来投資を行ったのか、または余剰資金の運用活動によりどの程度の資金が流出入したのかを示します。


 

投資活動によるキャッシュフローの構成

投資活動によるキャッシュフローの区分は、次のようなもので構成されています。

  • 有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出
  • 有形固定資産及び無形固定資産の売却による収入
  • 有価証券(現金同等物を除く)及び投資有価証券の取得による支出
  • 有価証券(現金同等物を除く)及び投資有価証券の売却による収入
  • 資金の貸付による支出
  • 貸付金の回収による収入

つまり、固定資産や有価証券の取得や売却が投資活動によるキャッシュフローに含められるということです。



投資活動によるキャッシュフローの読み方

本業が順調で営業キャッシュフローがプラスになっている会社は、営業活動により稼いだキャッシュを会社の将来のために新規事業に投資を行ったり、または現事業の強化のために設備投資を行う余裕があります。したがって、本業が順調な会社ほど、投資キャッシュフローがマイナス(投資をたくさん行っている)になる傾向があります。

営業活動によるキャッシュフローはマイナスの場合にはネガティブ(マイナス)な意味あいとなりますが、逆に投資活動によるキャッシュフローがマイナスであるということはポジティブ(プラス)な意味合いとなります。

ただし、バブル期の日本企業のように、なんでもかんでも投資を行なえば良いというのではなく、投資先の新規事業等の健全性や将来性、収益性等を十分に吟味した上で健全に投資を行なうことが重要であることは言うまでもありません。




投資活動によるキャッシュフローと経営戦略

会社が本業の営業活動によって稼いだキャッシュフローを事業に投資する場合、通常次のような選択肢があります。


  1. 工場設備の充実や修繕といった現事業を維持していくために投資をする(現事業維持投資
  2. 新しい事業や新商品開発といった新規事業開拓のために投資をする(新規事業投資
  3. 株式投資や国債購入などでとりあえず余剰資金を運用する(余剰資金運用

その中でその会社がどのような投資活動を行ったかはその会社がどのような営業戦略を持っているかを表します。すなわち、新規事業をどんどん開拓して事業の多角化をはかることを営業戦略としている企業であれば新規事業開発のために投資を行うでしょうし、現事業そのものの成長を営業戦略としている堅実な企業であれば現事業維持のために投資を行うと考えられるというわけです。

したがって投資活動によるキャッシュフローの内容を見ることにより、その会社がどのような企業戦略を持っているかを判断することができます。



投資キャッシュフローを利用した財務分析

キャッシュフローマージンなど、営業キャッシュフローを利用した財務分析指標は比較的一般的ですが、投資キャッシュフローを利用した財務分析指標で一般的なものはあまりありません。唯一あげるとするならば投資キャッシュフロー対営業キャッシュフロー比率です。

投資キャッシュフロー対営業キャッシュフロー比率は投資キャッシュフローを営業キャッシュフローで除したもので、固定比率のキャッシュフロー版とも言えるものです。 「投資キャッシュフロー対営業キャッシュフロー比率」は、企業の投資活動に関する資金投資額のうち、どの程度が本業の営業活動で稼いだ資金により賄われているかを示します。この比率が100%以上である場合には本業で稼いだ資金の範囲内で設備投資等が行われていることを意味するため堅実な経営をしていると判断できます。

ただし現実的には、成長期にある企業は設備投資資金を営業キャッシュフローで賄うという発想がそもそもなく、銀行借入等により外部調達してその金利以上に本業で稼ぐことにより金利差により事業を拡大成長していくのが普通です。したがって、成熟期にある老舗企業以外で設備投資を行った会計期間でこの比率が100%を切ることはまずありえません。したがって正直使い勝手はあまりよくないかもしれません。



事例問題:投資キャッシュフローの金額

A社は当月、設備投資として500円の機械を購入し、遊休土地を100円で売却した。また、保有していた株式から配当金10円を受取った。その株式は期中に50円で売却した。法人税等は30円と見積もられる。なお、A社は以前から配当金は営業キャッシュフローに区分している。この場合の投資キャッシュフローはいくらになるでしょうか?。(解答はページ一番下です。)


 

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