適正な期間損益計算
現行の企業会計において損益計算書は、適正な期間損益計算を行い、正確な収益力を表示することを目的としています。
したがって発生主義により収益は現金同等物として代金を回収した時点ではなく販売の時点で、原価は仕入れ代金を支払った時点ではなく売上高との対応により計上されます。
このように発生主義により損益計算を行うことにより適正な期間損益計算が可能となり、損益計算書において正確な収益力を表示することが可能となります。
損益計算書は会社の実態を示さない場合がある
売上高を代金の回収時点ではなく販売の時点で、売上原価を売上高との対応により損益計算を行うことで適正な期間損益計算を行うことができるというのは前述のとおりでこの考え方、損益計算の仕組みはとても合理的でよく考えられており、素晴らしいと思います。しかし、この損益計算の仕組みには盲点があります。それが過剰在庫です。
商品の売れ行き悪化、または商品の過剰仕入れ等により棚卸在庫が過剰となっている状況というのは資金が在庫として滞留していることを意味するためキャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローが大幅なマイナスとなります。
しかし、損益計算書においては売れ残った在庫は資産として貸借対照表に記載されます。またその在庫商品に経済的陳腐化等がなければ取得価額により評価され、用益潜在力にある資産、将来的な利益貢献に獲得する大切な財産という扱いとなります。つまり、過剰在庫は損益計算上全く考慮されません。
その弊害が黒字倒産です。黒字倒産するマンソンデベロッパー等が一昔前かなりありましたが、損益計算書は大幅に黒字でもすべてキャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローが大幅にマイナスとなっていました。つまりキャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローのマイナス状態がその会社の真の実態であって、損益計算書上の黒字はその会社の実態とはかけ離れたものだったのです。
このあたりの詳細につきましては、当サイトのおすすめ書籍である前川修満著『決算書はここだけ読め!』が詳しいので興味のある方は読んで見ることをおすすめ致します。。
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