キャッシュフロー計算書の作成と雛形

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キャッシュフロー計算書の資金の範囲

キャッシュフロー計算書が対象とする資金(キャッシュ)の範囲は、現金と現金同等物です。

簡単に図解するとこんな感じです。


そしてこれはおおまかには貸借対照表現金及び預金と一致します。

「キャッシュフロー計算書が対象とする資金」≒「貸借対照表の現金及び預金」

なお、正確には少し異なりますので表にまとめるとこんな感じです。


貸借対照表 キャッシュフロー
現金 現金及び預金 現金
当座預金
普通預金
通知預金(引き出すためには2日前に通知が必要)
3ヶ月以内の定期預金 現金同等物
公社債投資信託
コマーシャルペーパー
買現先取引(一定期間後に売り戻す契約で購入した債権)
株式
公社債

キャッシュフロー上の現金とは

キャッシュフロー上の現金は手許現金要求払預金に区分できます。手許現金とは会社の金庫などに保管されている紙幣や貨幣、さらに小口現金などをいいます。

それに対して要求払預金とは、当座預金、普通預金などいつでも引き出せる類の預金をいいます。


キャッシュフロー上の現金同等物とは

次にキャッシュフロー上の現金同等物とは、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資をいいます。後述する3ヶ月以内に満期の到来する定期預金はここに含められます。


有価証券はキャッシュではない

株式と公社債は貸借対照表上では有価証券という勘定科目とされるものですがこれは売却すれば支払い手段となりえますが価値の変動に対してそれなりのリスクをもって運用されている投資です。キャッシュフロー計算書においてキャッシュの対象とはしません(現金同等物からは除外する)。


定期預金の取扱いは少し複雑

定期預金は貸借対照表において定期預金という勘定科目で投資その他の資産の区分に記載されます。なお、定期預金のうち決算日から1年以内に満期の到来するものは預金として流動資産の部に記載され、普通預金と同様に扱われます。

それに対してキャッシュフロー計算書においては3か月以内に満期の到来する定期預金はキャッシュとしますが3ヶ月を超えて満期の到来する定期預金はキャッシュの対象から除外するのが適当とされています。

なお、どこまでキャッシュフロー計算書の対象とするかの具体的な取り扱いについては経営判断に委ねられています。こちらでより詳しく解説しています。


現金同等物の範囲は経営判断に委ねられている

ちなみに現金同等物に何を含めるかについては、各企業の資金管理活動によって異なることが予想されるため、経営者の判断に委ねることが適当とされています。

ただし一般的には取得日から満期日又は償還日までの期間が3か月以内の短期投資である定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパー、売戻し条件付現先、公社債投資信託などが現金同等物該当することとされています。

取得日から満期日又は償還日までの期間が3か月を超える金融商品であっても現金同等物に含めたほうが妥当な場合は経営者の判断により現金同等物に含めることも可能です。


現金同等物の範囲は注記の対象

なお、現金及び現金等物の内容については重要な会計方針として注記が必要となります。

キャッシュフロー計算書の開示義務のない中小企業の場合は資金の範囲について注記は必要ありません)





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